補足用説明(随時追加)
■春霞が道場に入門した理由
香と春霞が生まれた当時、東華の統治者は香父とその部下、春霞父の三人だった。しかし、香父は自分(と自分が操れる人間)のみによる統治を望んでおり、その実現のために噂を流したり秘密裏に事件を起こしたりして陥れ、春霞父を失脚させた。
その結果、この時代の東華は香父とその駒である部下李家の人間だけで統治が行われることに。そして張家(春霞の実家)は元々後継ぎ不足に悩まされていたこともあり、存続の危機に陥る。
そこで一人娘の春霞は道場一の成績で入門&卒門し、名前あげて統治者になることで両親のために家を立て直そうと考える。
当時の東華では、「男は仕事、女は家庭」な古の思想が主流。道場は女人禁制というわけではなかったが、求められる武力・体力等がかなり高い上に入門試験では候補者同士の手合わせが行われるため、入門する者は男児が殆ど。加えて入門後の生活もとても厳しいため、女性の卒門者は数十年の歴史の中でも片手で数えるほどしかいない(うち一人は春霞の母)。
女子が入門・卒門できた前例が少ないために、悪意がある人(それこそ李家の人間)などから難癖を付けられて入門できない可能性がある。そのため、民衆も見守る中行われる入門試験において、けちのつけようがない成績を収める必要があった(負けず嫌いな性格もあり、可能であれば一番の成績を取りたかったかった春霞は入門前から両親に稽古をつけてもらっていた)。
■香父と香について
香父は元々呪術特化の王家の出身。張家出身の春霞の父のことをずっと敵視しており(家同士の関係についてはこちら)、陥れる機会を狙っていた。香父は統治者になった目的が私欲のためな悪い人なので、自分の野望のために李家出身で民思いの香母を利用して政略結婚したし、後継ぎとして強い子を産ませようと色々無理をさせた(そのせいで香母は香が生まれてすぐ亡くなってしまった。香には病弱で亡くなったと知らされている)。
春霞父を失脚させた当時ではなく、春霞が成長した今更張家を罠にはめるという行動をとったのは、春霞が幼い当時はもう没落させたし十分だろうと思っていたから。仮にも元御三家の一族を暗殺したことがばれたら自分の立場も危ういので、そこまではしなかった。
春霞についても、道場に入ったところでどうせすぐ諦めるだろとなめていた。なのに思った以上に粘るし、力もつけて香とも仲が良さげな様子を見て危機感を持った。だから東華に大規模な怪異(朧)が現れた時には好機と思ったし(統治者としてあるまじき感想)、香との仲を逆に利用して一族ごと抹消しようと考えた(香も参加するのであれば春霞も疑わないだろうし、春霞が参加するのならば張家の者も疑わず同行するだろう)。
元々香は父上と呼んで尊敬してたし、自分も父のように東華の人々を守る強い人になりたいと願っていた。父譲りの呪術の才も誇りだった。道場の解放日(授業参観みたいなの)もこっそり楽しみにしていたくらいだけど、香父が来たことはない(寂しいけどまあ父上は統治者のお仕事忙しいもんな…て我慢してた。ずっとそうだから小学校中高年くらいの歳にはもう期待しなくなっていそう)。
電話はたまにしてたけどあっさりしてるし、困らせたくないから我儘も言えない。春霞は両親と仲が良くて毎週末に今週の出来事を手紙に書いてるので、長年続けてるの見て自分の父親(冷・厳)との関係と比べてちょっと羨ましくなっていた(春霞が手紙書いてる時に何書いてんのって取り上げて揶揄ったりする。でも春霞不在の時にたまたま机上の手紙が見えて自分のことも書いてあるの知ってちょっと嬉しくなったりしていた)。
■事件と香について
香は、最初はさすがに自分の一族を殺そうとまでは思っておらず、父の術による拘束がとけてすぐ(途中で気づいた香が父親を止めに駆けつけるも、邪魔するなと拘束されてしまった)湖を術式でさらったり自分で潜ったりして探したが、春霞の遺体は見つからなかった。そこで、父になんでこんなことしたのか、春霞をどこにやったのか、と問い詰めるが、父はなぜ息子が怒ってるのかもわからないという反応で、むしろ李家が一番になるための邪魔者が消えたから喜ばしいだろ?というような思想だった。その考えを聞いて失望。
その後、李家の勝利を祝う一族の宴に参加させられるが、酔った勢いで一族の者が話した香母の死因(病弱が原因ではなく香父たちが無理をさせたことが原因)やその他李家(王家)のために一族が行ってきた非人道的な呪術などについての話を聞く。それらについても父に真実かどうか問い詰めるが、香父は東華の人々を(息子ですら)この先自分が統治する理想の世を作るための駒(摂関政治みたく裏で政治操りたいと思っている)としか思っておらず、今回の事件やそれまでの所業についても罪悪感はないし、それらについて聞いた香が傷つこうが失望しようが特になんとも思わない(悪いことをしている自覚がないため、そもそも香がそう感じることが理解できない)というような回答だった。
これを受けて、この人たち(自分の一族)をそのままにしたら今以上に李家が東華を牛耳ることになり、東華の未来や民が危ないと思った香は、これまで一族が苦しめてきた人々や張家の人達の仇ということもあり、一族を全員滅ぼすことにした。春霞が生きていたとして、こんな奴らのために復讐して彼女が人殺しになるのだけは嫌だったからということもある(春霞が復讐するような人ではないとは分かっていたが)。
この事件以降、自分の一族への嫌悪感と一族によって命を奪われた人々への罪悪感から父譲りの呪術を使うことを極力避けるようになる(術式でしか救えない、祓えない対象がいる場合や、誰かを助けるために術式による強化が必要な場合などには使う)。
■春霞が助かった理由について
春霞が重症かつ高いところから湖に落とされたのにもかかわらず助かったのは、怪我などによって命が危険にさらされていた分、幽世に引き込まれやすい状態になっていたから。鏡面を通して繋がった幽世に落ちたことにより、実際の湖には沈まずに済んだため一命を取り留めた(元々この湖が東華最大の洞窟にある湖で境界の一つだったこともあり、非常に幽世へ繋がりやすい状況だった)。
その後幽世を縄張りとする怪異:朧が落ちてきた春霞を発見し、その魂を食べようとしたが、当時春霞は命の火が弱まっている(=栄養価が低い)状態であったため、栄養価を上げるために回復させてから…と完治するまで見逃されることに。朧は幽世に湧く悪霊たちから恐れられていたため、意図せずも朧に守られることになった(そうして過ごすうちに愛着が湧いた朧は彼女をそばに置いておくことにし、結果的に攫ったような形になった)。
朧が瑛国に渡ってからの春霞はファミリーの管理する温室に軟禁されていたため、外界の情報は朧の伝言や噂などを通してしか確認できなかったが、香ならいつか見つけてくれると信じていた。この間朧は正体を隠していたため、春霞とは一時休戦状態。香たちに正体を知らされた後に対立する。
⸻
人類が育てし秩序の庭師。
全ての「正しさ」を剪定し、「理想種」のみを花壇に残す、冷たくも精緻な支配者。
その真名を《李・薫美》。
《剪定》の理を持つ怪異である。
────
かつて人間であった存在。
旧き名門、李家の当主。東華統治者の一人にして、人を“花”として育て、評価し、選び、落とす者。
彼は怪異を祓うことにかけて、当世最優の術者であった。
だがやがて、「感情」を持ち、「不完全」であるがゆえに歪みと衝突を繰り返す人間そのものに絶望し、「余剰感情なき理想世界」を造るため、《怪異の王》・朧と接触。
その存在を信じる人間が少なくなったことにより、怪異達が飢える現代。
種族の延命を望むかの怪と密かに契約を結び、自らの肉体を“鉢”として提供。こうして形成されたのが、楽園型飼育穹窿・《剪定花録封域(レクイエム・フロリウム)》である。
表向きには永遠の楽園、その実態は感情の管理牧場──
余剰感情に支配される醜さのない人間性を備え、高エネルギーに調整された"適切な感情"を発する「美しい人間たち」────それらが選別され、ドーム内で無限に開花と散華を繰り返す閉じた世界。
彼の目的は人類の救済ではない。
“雑草”を根絶し、“傑作”のみで構成された社会を造ること。
その中で生きることが許される者は、ただ一輪たりとも狂いなき、完璧な花のみ。
彼は追い求める。数多の花々の中でなお埋もれない、圧倒的な強さと美しさを備えた一輪を。
故に彼は、適切な鉢を選び、自らの種を分け、完璧な計算の元に土壌と養分を管理調合し、その花を育て上げた。
そして、その一輪によって殺された。
…あるいは、殺されたフリをした。
自らの死すら養分に、更に高みへ昇るその花を“最高傑作”と称して。
彼は今、再び咲き誇る。
かつてと変わらぬ姿のまま、“楽園”の守護者として。
「選ばれたくて咲いたわけじゃない?
君がこうして咲いた以上、初めから私の掌の上だった、ということだ」
――剪定者は、今日も笑みを湛えて鋏を振るう。
⸻
パラメーター
筋力 B+
耐久 C
敏捷 C
幸運 B
霊力 EX
妖力 EX
⸻
固有術式
『穹窿楽園封域・剪定の揺籃庭』
ランク:EX 種別:結界・演算型 対界術式
"花"達から回収した感情エネルギーと"廃棄処分"された花々の構成物質をリソースとし、自身が持つ膨大な霊力と"怪異の王"としての妖力を動力に構成・展開される対界術式。現世と幽世の境界に成立しており、地脈をもコントロール下に置いている。
領域内の生命体の感情・想念を走査し、“最適な状態”と“理想の結末”を自動生成・干渉。拒絶反応を起こした場合は廃棄・資源化。適合者に霊力を注ぎ、これを永久に演算し続ける。すなわち、永遠に約束される“幸福な未来”の提供。
ドーム全域を"揺籠"として扱い、敵味方を問わず、生命体のあらゆる感情の"揺らぎ"を熱量に変換し、吸収する。
「さあ、もう迷わなくていい。君の感情は、美しく整理しておいてあげよう」
⸻
「最高の一輪」として“愛し“た一人息子の育成に人生を賭けている。
予期せぬ"雑草"達の干渉によって彼が揺らいだ際には、自らの死を以てその道を示した。
それは敗北ではない。
「再起動」のための“剪定”である。
彼は理想の"庭"を築くため、幽世と現世の狭間にあたる海底境界に巨大ドーム「楽園型飼育穹窿」を設計。そこに選別した人間を収容し、余剰感情を怪異のエネルギー源として充填。怪異と人間、双方の共生と永遠の幸福を実現する“理想世界”を完成させた。
────
感情とは本来、燃え尽きるもの。
だがこの空間でそれは、花のように定期的に咲き、散り、また咲く。
喜びも悲しみも、絶望も希望も、完全に制御された上で再生可能なリソースとされた。
彼はこう断言する。
「これは救済だ。混沌と暴力に満ちた現世より、遥かに平和で、遥かに合理的だと思わないかい?」
彼にとって感情は育成資源であり、剪定すべき枝葉でしかない。
無秩序な進化を排し、“選ばれた人間”だけが永遠に咲き誇る管理社会。
そこでは誰も争わず、誰も傷つけず、誰も抗わない。
───なぜなら、そのすべてが“想定内”だから。
この事業が成立した時点で、封域は独立進化を開始し、あらゆる分岐を排除する自己修正型の閉鎖世界となった。
彼はもはや人ではなく、世界の根であり、花を剪定する鋏であり、
“正しさ”を名乗る災厄。
無価値と判断されたすべての命にとって、
これは死よりなお穏やかな、絶滅である。
⸻
理:剪定
人類という群体の中に存在する「異物」。
その内、希望でも愛でもなく、“秩序”を最も強く希求したのがこの存在である。
彼にとって秩序とは剪定であり、
混乱をもたらす者、感情に流される者、歪みを抱えた者は“咲く価値のない失敗作”でしかない。
従ってこの世界は、“失敗作”を排除し、“傑作”だけで構成されるべきだと信じて疑わない。
────
「剪定」とは選別。
「封録」とは隔離保管。
この怪は、理想の"庭"を作るためにそれを行う。
彼にとって人とは、評価し、剪定し、美しく咲かせる対象でしかない。
魂を人と見ない、花としてしか認識しないのは、既に彼が人間の域を超えた存在であることの証左。
彼にとって「美しいかどうか」は結果であり、
選ばれ、残された者のみに付与される記号にすぎない。
すべての存在を分類し、体系化し、管理することで生まれる“静的平和”。
そこにこそ、本物の平穏があると信じている。
人間も怪異も分け隔てなく。等しく“標本”として収め、管理する────それが“楽園型飼育穹窿”。
────彼が創り上げた箱庭である。
⸻
特殊識別コード: 【N/N/Y/N/N/N/Y/N/N/Y/N/N】
